【研究手記】
TOP > 【研究手記】 > 02/06/01 34巻感想

■02/06/01 34巻感想
34巻感想


34巻を読了して、まだ落ち着かないでいる。
思いつくまま、つらつらと今の気持ちを書いておこうと思う。
今回も色々なことがあったけれど…一番印象に残ったことは、直江の織田への身売りだった。
肉体が回復したとか、そんなことはほんの副産物で、でもほんの少しだけ良かったねと、安堵した。
地獄の底で、ほんのわずかな光のようなものだけど、それでも直江のためには良かったねと言いたい。
私はまだ、夢を見てる。直江が高耶を救う夢を。希望は捨ててない。
でも、私は別に直江が高耶を救うことが最大の幸福とは思えないし、それが話の終わりとは思えない。
どんなに直江が屈辱的だとしても、肉体の、体力の回復は、来るべき決戦に備えてだと思えば歓迎できる。
その決戦が…たとえ直江が修羅となるものであったとしても。

ミラージュの終わりが近づいてきている気がするけれど…
それでも私は、物語の先は、想像ができないものを期待している。
読むたびに「そうきたか!」と叫ばすにはいられない。毎回期待と想像を裏切られる。とても良い意味で。

さて、直江の行動について少し語りたい。
信長に種を植えられたことで、信長に身も心も捧げてまで…。
高耶を救おうとしている直江は、ものすごく献身的で、手段を選ばず、自己犠牲で…。
高耶のためにそこまでッ!って思ってものすごく感動した。
誰かを救いたくても、自分が自分でなくなってしまう…。
それが肉体だけではなく、死して後も開放されることはなく、自分が自分という意識がある限りずっと隷属されるなんて、もしも自分だったら耐えられない。
直江が種を植えられることを予想できなかったはずはなくて…
それを覚悟してまで織田のもとへ行った直江の勇気にはとても脱帽する。

けれど、違った見方をすれば直江の行動は、なんてひどいエゴだろうと、思わずにいられない。
高耶の身になってみれば、たとえ魂が助かったとしても、信長を倒さない限り・・・
いや、倒したとしても罪悪感は消えないだろう。
振り返らない高耶を、今度は罪悪感で縛ることができる。
…そんな打算的なことまで考えて行動した訳ではないだろうけれど。

赤鯨衆を、今まで行動してきた仲間を調伏したとき、とてもとても切なかった。
それは仲間を裏切る姿を見たからではなく、悪魔に魂を売り渡した瞬間を見てしまった気がしたからだ。
堕ちていく…そんな第一歩を見てしまったショックはかなり大きかった。
そもそも直江は兵頭の言うとおりに赤鯨衆を仲間と思ってなかったと思うけれど、それなりに義理もあっただろうし…。
本当に調伏したかった訳ではないだろう。
それに…あの調伏の瞬間に「岬の小さな家で生活する直江と高耶」という夢の未来図は確実に崩壊してしまった。
もともと夢のような未来図だったけれど、本当に夢となってしまって悲しい。
これで直江は確実に赤鯨衆には戻れない。運良く高耶たちが織田を攻め滅ぼしたとしても…
四国と同体の高耶は、赤鯨衆と離れることはできないだろう。
いや、直江が赤鯨衆をも滅ぼすって手もあるけれど…現実的とは思えない。

途中で、直江がことあることに屈辱をかみ締めて、自分を殺していく様子を見た。
その一つ一つを見るたびに、見ているだけしかできない自分がとても歯がゆくて・・・悲しくなった。
テレビで見ている、どこかで起きている悲劇的出来事のように。見ていることしかできないという感覚と同じ。
一つ、一つ、信長に鎧を、剥がされていって…どこまで耐えられるのだろう?
いや、耐えねばならないのだから、見ているこっちは悲痛でたまらない。

けれど、その悲痛とともに、虐げられている直江を見てゾクゾクと暗い悦びに浸っている自分がいる。
衛士の姿は、あまりにもらしくて…。くらくらしました。
ネクタイを緩める姿とか、もうひとつひとつの動きに、この男はこれからどうするんだろう…
何が起こるのだろうと目が離せない。
あの「ありがとう」の台詞にしても、あの言葉の裏を考えるだけで、何度も何度もページを読み返してしまった。
追い詰められた直江が次にしでかす出来事が気になって、たまらない。

かつて直江が高耶と討論して否定していた台詞と、今、告げている発言が、直江の意思に反していても、同じものになった。
高耶と直江の討論に、信長の圧力が入ったことで同じ結論になったことが悔しい。
あの部分を読み返すたびに…直江が直江だけで考えたことは違うはずなのに、そこまで自分を殺しているのかということよりも、変質してしまった気がして、穢れてしまった気がして…唸りたくなる。
高耶の霊枷をして、今度は自分が忘れないようにと…そう願ってつけたとしても。
信長の精神につながってしまった直江は、たとえその支配を離れたとしても、かつての直江と同じ訳ではないだろう。

平熱で平板な想いには…ちょっと堪えた。堪えたというのは、それは身に覚えがあるからだ。
けれど、それを超える何かを私はまだ信じて、ミラージュに求めている。
直江が肯定しない限り、高耶が諦めない限り、私はまだ永遠を信じていたい。
第三者の意見では納得したくない。

高耶がね、いくら信長へ殺意を抱いたというのは…とても私怨を感じられるんだけど…
前だったらそれを咎めたい気分だったと思う(たとえば、11巻の頃)
今、同じように直江が自分のものとして、考えている高耶を見て、私はそれで当然だと思ってしまった。
当たり前のように当然だと考えた。
ふと、いつの間にか、直江は高耶のものだと肯定していたみたいで…自分自身に驚いてしまった。
高耶が直江を自分のモノ扱いしていることに、憤ったこともあったのにね…。

今回、ぎりぎりのところで、夢の中で、高耶が最後の最後にいつも考えているのが直江のことだと十分に知った。
あの高耶が霊ごときで堕ちなかったのは、うれしかった。
それがささやかながら、今回うれしかった。

綾子が言っていた「世界を元に戻す」こと。
やっぱり綾子が最後に直江と高耶に引導を渡すことになるのかな…と。
前回の予言が、なんとなく方向づけられたような気がしてきた。
色部さんの動向も気になるし…あああ、今、上杉が動いたら大変だ?!
そういえば、長秀ってずいぶんと大変な状況になっていたんですね;;
あんな長時間を押さえ込みって…。←ここでよからぬ妄想をした私(笑)
妄想といえば、種を埋められるところで信長×直江も妄想せずにはいられなかった…。
ああ、ごめんなさいごめんなさい、直江はそんな状態じゃないってのに;;
でも、直江の容姿がいいというのは信長も認めてたね…。目が気になってたみたいだし。
いやーん、妄想が止まらないっ。

さて、今回一つだけ、自分で登場して小躍りして喜んだ箇所がある。
それは金剛證寺のこと。
数年前、伊勢神宮に行ったついでに、ミラージュに出てきそうだという理由で見てきた場所だった。
やった?読みは正しかったわ!!と。
紫陽花がとても綺麗だった覚えがあるので、これからの季節にいくといいかもしれない。
原作の描写を見ていたら、また行きたくなってしまいました;;

闇戦国の成り立ちについては、ついに解明されてしまいましたね。
ここのところ、どんでん返しを繰り返していた気がするので、本当にこれが真の原因って考えていいのかな。
信長の言ってたことが真実だと受け入れていいのかと迷っていますけれど。
時間があったら整理してみたい気がする。

さて、次は8月期の発売だそうで。
そんなに早いペースでいいんですか…と、今から心が落ち着かないです。

02.6.1UP


TOP 闇戦国研究所